和歌山市出身の歌手・嶋三喜夫さん(67)=東京都=が、ニューシングル「母はふるさと」を、日本クラウンから発売した。年老いた母への思慕の念を歌った曲で、嶋さんは「これまで僕が歌ってきた、母物の完結編のような曲。この歳になって、やっと母への思いを自然に歌えるようになりました。ぜひたくさんの方に聴いていただきたい」と話している。
嶋さんは、子どもの頃からの憧れだった三橋美智也さんに入門。15年間付き人を務めた後に、49歳で歌手デビューしたという苦労人だ。「山里しぐれ」「里がえり」「母恋峠」などヒットを飛ばし、恋しい和歌山を歌った「夕やけ慕情」や、「ふるさとが聞こえる」なども好評を得ている。
「母はふるさと」は、作詞を手掛けた新條カオルさんの体験に基づいた楽曲。嶋さんにとって1年10カ月ぶりのニューシングルで、しみじみとした嶋さんの味わい深い歌唱で、語り掛けるように歌っている。
嶋さんにも、5人の子どもを育て47歳で亡くなった母親がいる。レコーディングでは、歌詞にある「安らぎ添えたい 母の余生に 夜汽車に揺られて…迎えに行った」のフレーズに込み上げるものがあり、思わず涙があふれたという。
「わかやま応援団」の一員でもある嶋さんは「和歌山を愛する気持ちは誰にも負けない」と、ふるさとへの思いは熱い。これまで何度も和歌山市内の高齢者施設にボランティアで訪れ、「歌わせてもらえる場所があれば、どこへでも歌いにいきます。声の出る限り、歌い続けていきたい」と話している。
CDはこの他、「酒は男の夢しずく」とカラオケバージョンを収録。1143円(税抜き)。全国のCDショップで取り扱っている。