5日午後4時25分ごろ、紀の川市後田の住宅街で、「男の子が切り付けられて倒れている」と近所の男性から110番通報があった。県警によると、男の子は市立名手小学校5年生の森田都史(とし)君(11)。心肺停止の状態で市内の病院に搬送されたが、同7時5分に心臓を刺された失血により死亡が確認された。県警は殺人事件として捜査を進め、犯人の行方を追っている。
県警によると、森田君には、胸や頭、両腕に数カ所の傷があり、自宅からすぐ近くの空き地で倒れていたという。司法解剖の結果、胸の傷は、右前部から左に向かって刺されており、心臓を貫通していたという。現場は国道24号名手小学校北交差点から南に約650㍍。
近隣男性が自宅の庭先で作業中、不審な男を発見。その数分後、近くの空き地から声が聞こえ、男が徒歩で北方向へ逃げたという。現場を確認すると、空き地の中央付近で頭を南に向け、顔面蒼白で仰向けに倒れている森田君を発見した。
逃げた男は30歳前後、身長は約170㌢で中肉体型。上は紺色の作業服、下はジーパンをはき、刃物を所持しているとみられる。森田君は事件当時一人だったとみられ、現場近くに所持品はなく、凶器の刃物も見付かっていないという。
静かな住宅街が、パトカーの赤色灯と不安で包まれた。殺人事件を受け、県警捜査一課や岩出署は合同捜査本部を設置。刑事部長を捜査本部長として、約100人の捜査体制を敷いた。岩出署では、署員や機動隊員ら約100人、県下計300人体制で、学校の登下校時間帯に通学路の警戒、警備にあたっている。
その後の調べで、逃げた男が過去にも現場周辺で目撃されていた可能性があることも分かった。
県警捜査一課は、森田君の刺し傷からみて、「強い殺意があったとみてもいい」と事件を表現し、慎重に捜査を進めている。