近世箏曲の創始者、賢順の業績を記念して福岡県久留米市で開催された「第21回賢順記念くるめ全国箏曲コンクール」(賢順記念全国箏曲祭振興会主催、文化庁など後援)で、和歌山市在住の小松亜未さん(24)が銅賞(第3位)と久留米市長賞を受賞した。
同コンクールは箏曲の魅力を全国にアピールするとともに、新人奏者の技量の向上と発掘を行い、伝統音楽「箏曲のふるさと・久留米」の情報を全国に発信するために平成6年から毎年開催。流派を越えた唯一の全国大会で、プロを志す新進演奏家の登竜門とされている。
今回は昨年12月7日に開かれ、予選を通過した男女25人が本選に挑んだ。小松さんが演奏したのは吉岡孝悦作曲の「箏のためのアラベスク」。打楽器のような躍動感とスピード感、箏独特のテクニックを併せ持つ魅力あふれる現代曲だ。
「好きな曲なので、自分らしさをしっかりとアピールできたと思います。大きな賞を頂けたので本当にうれしい。箏は原始的な楽器ですが、未知なる可能性を秘めているので、自分なりに工夫できる楽しみがあります。もっと技術を磨いて、多くの人を魅了できるような演奏を目指して努力していきたい」と小松さんはさらなる意欲をみせている。
小松さんは、県立桐蔭高校箏曲部の入部をきっかけに箏を始め、在学中に「第17回全国高等学校総合文化祭」で文化庁長官賞を受賞。大学進学後も和歌山市出身の箏曲家、西陽子さんの指導を受けながら練習を続け「和歌山県新人演奏会」にも出演している。現在、市内の企業に勤務しながら、演奏活動を続けている。
西さんは「豊かな感受性を持った努力家ですね。プレッシャーを力に変えられるところが素晴らしいと思います。これからも失敗を恐れないで、チャレンジし続けてほしいと願っています」と期待を寄せている。