和歌山市加太の持続可能な観光まちづくりを考えるシンポジウム(加太地域活性化協議会など主催)が1日、和歌山市のイオンモール和歌山で開かれ、約200人が参加した。パネルディスカッション「これからの加太で出来そうなこと」では、行政、鉄道、地域住民らパネリストがそれぞれの立場から意見を出し合い、「(まちづくりに)本気になった人がつながり、このまちを加太から変えていこう」と呼び掛けた。
パネリストは、市まちづくり局都市計画部都市再生専門監の中西達彦氏▽南海電鉄グループ事業室部長の和田真治氏▽同協議会(連合自治会長)の尾家賢司氏▽加太観光協会会長の利光伸彦氏▽東京大学生産技術研究所准教授の川添善行氏――の5人。コミュニティデザイナーの山崎亮氏(スタジオ・エル代表)が進行役を務めた。
中西氏は行政の立場から、人口密度が市の中心部から郊外に広がった現状を紹介。中心部を元気にするためには、郊外部も元気にする必要があるとし、「行政として全部の地域を平等に支援するのは難しく、地域でまとまってもらうと非常に支援しやすい。加太はそういう状況になりつつある」と話した。
和田氏は、南海電鉄の「沿線価値向上プロジェクト」など各地で実施している事業を紹介しながら、「民間企業なので赤字垂れ流しの事業は許されない」とし、「熱心な地域の人と良い関係を構築していくことが第一歩」と、行政と同じく団結のある地域で優先して事業展開したい考えを示した。
尾家氏は空き家対策を中心に、ハイキング・サイクリングコースとしての大川峠の整備など、「やることはなんぼでもある」と地域の熱意をアピール。利光氏は「加太には鉄道という素晴らしいインフラがある。もう少し地域の人が駅などを見直して有効活用できるように、南海さん、行政と一緒に真剣に考えていくシステムをつくっていくことが、われわれの幸せにつながる」と述べた。
建築設計・風景論を専門とする川添氏は、加太の空き家について、エアコンを使わず海と陸からの風を利用して温度調整していることが特徴的とし、その加太らしさを生かすことを提案した。
山崎氏は「行政の『まとまった地域から順番に支援したい』というのは正直な話だと思う。やる気のある地域を支援すると成果が出て、他の地域もやる気を出す可能性がある。行政も鉄道も、加太はそういう状態になりつつあると見てくれている。諦めずにどれぐらいの人がやっていくのか、加太に期待したい」と締めくくった。
この他、同協議会の活動紹介や、川添氏と東大生が昨年実施した加太地域資源の研究調査の報告なども行われた。