日本洋酒酒造組合が23日、酸味料などを使用していない梅酒を「本格梅酒」と表示できる新基準を制定したことを受け、仁坂吉伸知事は26日の定例記者会見で、県産青梅の需要拡大と紀州梅酒の販売促進に期待と意気込みを示した。
これまでに流通している梅酒は、梅・糖類・アルコールのみで製造された製品と、梅の使用を減らし酸味料や着色料、香料などを加えた製品が混在した状態で販売されている。同じ「梅酒」の表示で市場に出されているため、消費者が製造過程について誤認する恐れがあった。
また、梅酒の生産量は梅酒ブームに乗って平成14~23年の10年間で2倍近く伸びているものの、梅酒用青梅の仕向量はほぼ横ばいで推移している。この事実を4年ほど前に業界関係者からの話で知った仁坂知事が、関係各所で表示改善の要望、働き掛けを行ってきたという。
仁坂知事は「人工的なクエン酸より、梅から自然に出てくるクエン酸で健康になってほしい。そういうことを訴求して梅酒の販売を増やし、梅の需要を増やしたい」と取り組みへの思いを述べた。
梅酒を製造販売している酒造メーカー中野BC㈱(海南市藤白)の広報担当者は「味や香料を添加物で引き伸ばしている梅酒と、私たちが製造している本物の梅酒との差別化ができることは歓迎できる」と話し、「『本格梅酒』の表示は、ブランディングの上で重要なカテゴリーになってくるのではないか」と伝統の梅酒の消費拡大に期待を寄せた。