伏虎中学校区小中一貫校の建設工事に伴い発掘調査を行っている和歌山市鷺ノ森南ノ丁の鷺ノ森遺跡で、戦国時代末期の16世紀後半に造られたとみられる堀跡と、国内最古級とみられる小型仏具「鰐口(わにぐち)」が発見された。市は18日午後1時半から現地説明会を開き、発掘調査の成果を一般公開する。
市教育委員会文化振興課によると、調査地点一帯には16世紀後半、和歌浦から移転した「鷺森御坊」があったとされる。鷺森御坊は浄土真宗門徒の宗教施設だが、戦国時代に織田信長の勢力に対抗するために要塞(ようさい)化したと考えられている。今回発見された堀跡は、幅が15~16㍍で人為的に埋められており、記録に残る鷺森御坊の外堀に相当する可能性が高く、東西200㍍ほどの大規模な堀だったと考えられている。
一方、鰐口はさらに古く、平安時代(9世紀末~10世紀初頭ごろ)の地層から黒色土器などとともに見つかった。同時代の地層からは仏教や神道に関する出土品や遺構は発見されていないため、埋もれていた経緯は不明。関根俊一奈良大学教授はこの鰐口について「平安時代にさかのぼる古式の要素を備えている。現在のところ最古級のものになる可能性もあり、極めて貴重な資料といえる」と話している。
この他、発掘現場の南西部からは、江戸時代の町屋で生活する際に使われたとみられる複数の穴も発見されている。
同課は「現地説明会で、発掘中の堀や鰐口をはじめとする出土品やこれまでの調査成果をパネル展示しますので、気軽にお越しください」と来場を呼び掛けている。
問い合わせは公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団(℡073・426・1070)。