経営難から立て直しを図りながら2季目の運営を続けていたバスケットボール男子NBLの和歌山トライアンズ(運営=和歌山バスケットボール㈱)は7日、運営継続を断念し、破産申請の準備に入ったことを明らかにした。県内初のプロバスケットチームとして誕生し、ことし開催の紀の国わかやま国体・大会などに向け、スポーツ振興の観点から盛り上がりが期待されていただけに、シーズン途中の廃部という結果は大きな波紋を広げそうだ。
チームは初年度、リーグ準優勝という好成績を収めながらも債務超過に陥っていたことから、今季は経営陣を刷新し、スポンサー料やチケットの販売収入強化を目指し活動を継続していたが、シーズン後半を乗り切るだけの資金集めが達成できなかった。
チームからの依頼を受けて破産申し立ての準備を進めている弁護士事務所によると、チームは破産判断のぎりぎりまで資金繰り改善を目指し動いたが、リーグ統合問題などで揺れるバスケット業界の悪い印象なども影響し、支援者の心が離れていったという。さらには昨年、選手への総額約760万円の報酬未払いや、スポンサー企業から先払いしたスポンサー料の返還を求める訴訟を起こされるなど、次々に負の側面が明らかになり、スポンサーへの追加支援の道も遠のいていった。負債の内容、選手やスタッフへの報酬支払いについて同事務所は「現在調査中で詳しいことは答えられない」と話している。
チームの経営体制は昨年8月、オーナー代行として2季目の経営を任されていた近藤洋介氏が経営強化のために全株式を取得し、オーナーに就任。地域に根差したチーム作りを目指して動いていた。近藤オーナーは活動断念を明らかにした7日、リーグに状況を報告するために上京、リーグも同日夕方に記者会見を予定している。
ホーム体育館として使用していた和歌山市梅原のノーリツアリーナ和歌山の出入り口ガラスには同日、ファンへの感謝と取引先などに向けたお詫びの文書が張り出された。
チームの公式ツイッター上では、活動停止の報告に落胆のコメントが次々に寄せられている。「残念です。昨年度は、素晴らしい快挙でしたのに…これも運命ですね。正直悲しいの一言です」「選手はどうなるの~」「今シーズンは大丈夫と思ってたのに…」「短命でしたが、楽しかったです」などがあった。