国内市場が縮小傾向にある中、経済成長に伴う個人所得の伸びから、消費市場としての位置付けが高まっているベトナム。日本企業の進出が加速化する中、そば・うどんを中心に和食店を展開する㈱信濃路(本社=和歌山市加納、西平都紀子代表取締役)は先月、初のアジア出店を同国で実現した。
出店したのは、信濃路の子会社・㈱感動カンパニーがイオンモールのベトナム2号店「イオンモール・ビンズオンキャナリー」のフードコート内にオープンさせた「KOKONABE」。うどんをベトナム鍋風にアレンジしている。
延床面積1581平方㍍、和の演出を施したフードコートにはベトナム国内外の飲食店18店舗が出店している。同店はオーストラリアにも日本料理店を出店する信濃路がプロデュースし、トマト、和風など4種類のだしが選べる鍋やてんぷら、ハンドロール(手巻き寿司)などを提供している。
ベトナムの平均月収は日本円で約2万円といわれている中、同店の客1人当たりの単価は約400円。現地の人が好む一人鍋に着目したことに加え、日本食の人気の高まりから、フードコート内でも上位で売上を伸ばしているという。
すでに2号店の出店の話もあり、西平代表取締役は「ベトナムでの日本食文化の向上につなげたい。そして和歌山から海外に本物の味を発信していきたい」と話し、海外での今後の展開に構想を膨らませている。
出店に際し、海外展開資金を融資した日本政策金融公庫和歌山支店は「外食産業や小売業などの商業ベースで、比較的外資出店に対する規制が緩いベトナムやタイなどへの進出のチャンスが出てきている。今後、県内でもアジア市場への出店の話が増えてくるだろう。日本文化が浸透することで県へのインバウンドも期待される」と話している。