偏差値の低い大学を指す「Fラン大学」を退学しながらも、英国の名門大学に進学し、日本の大手企業に就職を決めるまでの経験をつづった、白浜町出身の間部理仁(まなべ・りひと)さん(25)の書籍『Fラン大学生が英語を猛勉強して日本のトップ商社に入る話』(宝島社)が12日、発売される。間部さんは「無理だと諦めている夢や目標も、やってみないと分からない」と話している。
間部さんは田辺高校卒業後、スポーツ推薦で箱根駅伝常連の関東の大学に。駅伝部入部も1週間で退部、大学も半年で退学した。再受験で京都外国語大学に入り、卒業後は英国の名門ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に進み、ことし11月に環境学修士号を取得して卒業。来年4月から東京の大手総合商社に勤める。
スポーツ一筋だった間部さん。高校卒業記念に、姉の短期留学先の英国に2週間ほど訪れた際、世界の広さに衝撃を受けた。帰国後の駅伝部の合宿で「僕の本当の居場所はここなのか」と葛藤し、退部。箱根駅伝出場から一転、英国留学の夢が強まった。
英語力を身に付けようと学習塾に入ろうとするも、英語の偏差値の低さから拒否された。「勉強しなくてもスポーツ推薦で大学に入れる」と、勉強してこなかった高校時代を後悔したという。
それでも、友人や高校の英語教師らの協力で英語を猛勉強。大学を退学し、京都の予備校に通いながら京都外大を再受験し、合格した。卒業後は、世界の大学を順位付けした「QS世界ランキング」で4位に入る名門UCLへの入学の夢をかなえた。
UCLの卒業論文に取り組んでいる際、これまでの経験を人生の「第1ステージ」として振り返ろうとエッセーを書き始め、ウェブサイト「STORYS.JP」に投稿。「元気が出た」「一歩踏み出せそう」などの反響があり、宝島社から出版のオファーがあった。
出版にあたり間部さんは「家族をはじめ、友人、先生、多くの人たちが支えてくれたからこそ今の僕がいる。今までの失敗が誇れる経験になった」と振り返り、「この本が、誰かが第一歩を踏み出すきっかけになれば」と話している。