南海トラフ巨大地震を想定した大規模津波防災総合訓練が8日、和歌山市の和歌山下津港と、大阪府堺市の堺泉北港の2会場で開かれ、156機関約5000人が実践的な訓練を通して災害時の対応を確認した。平成16年のスマトラ島沖大地震に伴うインド洋津波災害を受け、国などが17年度から実施している9回目の訓練。一般見学者も多く訪れ、津波に対する知識の普及・啓発を図った。
本訓練は平成17年度に御坊市で実施されており、県内では2回目、和歌山市では初めて。訓練想定は、午前9時20分ごろ、マグニチュード9・1の地震が発生し、静岡県西部から宮崎県北部の広範囲で最大震度7を観測。紀伊半島沿岸部と大阪平野に巨大津波が来襲、密集市街地で家屋倒壊や火災、コンビナートで火災や油流出などが発生したと想定した。
和歌山会場では訓練開始とともにサイレンが鳴り響き、車両や船舶で避難を呼び掛け。ヘリによる座礁船からの救出訓練▽避難所の設置▽倒壊家屋からの救出・救護・搬送訓練▽全国から派遣されたテック・フォース(緊急災害対策派遣隊)による被災状況調査や排水作業――などが展開された。
市内では西山東地区で住民参加の避難訓練、直川地区で災害ボランティアセンターの設置運営訓練も行われ、下津港会場のモニターにその様子が中継された。
訓練には国交省の北川イッセイ副大臣や仁坂吉伸知事、尾花正啓市長も参加。北川副大臣は「各機関の協力で大変実のある訓練になった。住民の皆さんに日頃から心構えを持ってもらえるよう、緊迫感を高めていくのが大事だ」と話した。
大阪会場でも避難誘導やヘリなどによる救命救助活動、船舶による物資輸送再開のための緊急確保航路の啓開などが繰り広げられた。