和歌山市井ノ口の会社員、川崎慶子さん(38)の油彩画「青い部屋」が、先月東京の国立新美術館で開かれた「第78回新制作展」(新制作協会主催)の絵画部門で初入選した。厳しい審査で知られる同展。5度目の挑戦で初入選を果たした川崎さんは「やっと、と言えば図々しいかもしれませんが、とにかくうれしい気持ちでいっぱいです」と笑顔で話している。作品は、26日まで京都市立美術館で開催中の新制作京都展でも展示されている。
新制作協会は、昭和11年に猪熊弦一郎や小磯良平らが反アカデミック、新芸術を掲げて創立した全国的な美術団体。ことしは全国で一般からの出品は697点あり、入選者は222人。初入選は23人だった。
川崎さんの入選作は120号の大作。身近な室内風景を平面的でモダンに描いた作品で、全体をエメラルドグリーンに近い色調で包んでいる。画面奥の扉からは光が漏れ、少しいびつに描かれた壁の線やイスが不思議な空間を生んでいる。コンセントに差し込まれた電気コードやスリッパが、どこか人の気配を感じさせる日常の一コマ。「平面的に描きたいというのはありましたが、単調だと面白みがない。どうすれば自分らしくなるかを考えながら仕上げました」
川崎さんは「新制作和歌山の会」のメンバー。和歌山市展や県展にも挑戦し、市展では奨励賞の受賞歴もある。もともとグラフィックデザインを学び、パソコンを使った制作も多かった。これまでアクリル絵の具の作品はあったが、油絵は今回が2作目という。
川崎さんは「まだまだ未熟ですが、これからも目の前にある身近なものを、シンプルに単純化して描きたい。それでいて、私らしい空間を表現していければ」と話している。