安倍内閣は、非正規の働き方を固定化する派遣法改悪法案を臨時国会に提出しました。総務省の調査では、雇用労働者5500万人の内、非正規の方は約2000万人で全体の約4割。私が新入社員の頃は、8%程度でしたから隔世の感があります。労働条件を比べると、給与水準が正規労働者の約6割、また、健康保険や厚生年金の適用は半分にすぎません。非正規での働き方を不本意と思う労働者の割合は、派遣で6割、契約社員で3割、パートタイムで2割となっています。
ひと昔前は、専業主婦のパートや学生アルバイトなどの補助的な収入源とされていた非正規の働き方が4割に達したことから、シングルマザーなどのひとり親家庭の貧困、子どもの貧困問題に大きな影響を与えています。
これまでは、年功序列賃金、終身雇用の下で、教育や住宅などの社会福祉は家族手当など企業の負担でした。日本企業にそのゆとりがなくなり、正社員ですらそのような枠組みがなくなり、非正規雇用も増加しました。子育てにお金がかかるのならば、それは企業ではなく、政府が本来負担すべきものです。
ヨーロッパでは、「同一労働同一賃金」の原則の下で、非正規でも社会保険が適用され、賃金も正規との差はありません。ただし、職務に対する賃金ですから、年齢には比例しません。だからこそ、大学まで含め教育は無料であり、子ども手当も出して、政府が子育てを支援しているのです。
これからの日本は、非正規を正規に転換することも重要ですが、ヨーロッパと同じように、非正規の働き方でも「同一労働同一賃金」が約束され、社会保険が適用されるように労働条件を改善することが求められます。
その際には、社会全体での子育ての仕組みが確保されなければなりません。子ども手当や、高校の授業料無償化に加え、保育所の充実、給付型奨学金のようなユニバーサルな政策、チルドレン・ファーストの政策が求められます。
一方で、非正規の労働者の多くは年収が200万円以下です。また、ひとり親家庭の半分以上が貧困状態であり、悲鳴が聞こえてきます。大きな制度改正の努力と同時に、地域の現場でこの声に応える運動が必要です。そこで、民主党は地域の現場でNPO法人や連合の地方組織、労働金庫、労働共済中心の労働者福祉協議会などと連携し、就職支援活動などをスタートさせました。安倍内閣では軽視されている非正規雇用問題に国民運動として取り組みます。