県の文化向上、発展に貢献した人をたたえる平成26年度県文化表彰の受賞者が決まった。本紙エリアからは文化奨励賞に和歌山市出身の作曲家・石黒晶(さやか)さん(60)=大阪府在住=、建築家・広谷純弘(よしひろ)さん(57)=東京都在住=、同市の「岡崎団七踊保存会」が選ばれた。本表彰は昭和39年度に始まり、本年度で51回目。広谷さんは建築家として初の受賞となる。〔写真は県提供〕
受賞者の主な経歴と功績は次の通り。
【石黒晶さん】東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程を修了。発表作品は「二期会週間」「JCDA合唱の祭典」など国内外で演奏され、和歌山の民俗素材を用いた〝紀州三部作〟の「紀伊の国のうた拍子」は平成18年朝日作曲賞佳作を受賞した。今秋、日本屈指のハーピスト・木村茉莉さんにより最新作「琴華」が初演される。
現在、神戸女学院大学音楽学部教授。NHK合唱コンクールなどの審査員も務め、後進の育成指導にも尽力している。「活動の場は広がりつつありますが、郷土への思いが薄れることはありません。これからも微力ながら精進を続けます」とコメントしている。
【広谷純弘さん】東京理科大学工学部建築学科を卒業。平成18年に㈱アーキヴィジョン広谷スタジオを設立。優れた建築設計により数多くの受賞歴を誇り、同24年には「三重県立熊野古道センター」で公共建築賞・国土交通大臣表彰を受賞した。
住宅から公共施設、商業施設の設計やアートイベントまで幅広く活躍している。本紙コラム「建築家・広谷純弘とこだわり仕事人」(本日付2面)でもおなじみ。「私の建築家としての大切な価値観を認めていただけたような喜びとともに、さらにガンバレと激励していただいているようで、とても名誉に、またありがたく思います」とコメントしている。
【岡崎団七踊保存会】昭和34年に県の無形民俗文化財に指定された岡崎地区の盆踊り「団七踊」の保存会(西谷暢浩代表)。活動歴は50年を超え、近畿地方に伝承する数少ない団七踊として貴重な存在になっている。
他地区の団七踊が途絶、変容していく中、毎年欠かさずお盆の時期に西熊野神社境内を中心に踊りを奉納、公開。近年は地元小学校で教室を開いて踊りを教えるなど、後進の育成や郷土学習にも積極的に取り組んでいる。「喜びをかみしめると同時に岡崎団七踊を後世へ伝承していくための責任の重大さと、さらなる精進への必要性を再認識しています」とコメントしている。
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本年度はこの他、文化賞に御坊市出身の洋画家・野田裕示(ひろじ)さん(62)=東京都在住=、文化功労賞に白浜町在住の陸産貝類(カタツムリ)研究家・湊宏さん(75)が選ばれた。27日に県庁正庁で表彰式が行われる。