前号では「有意義な旅づくりに」と題して、道の駅紀州備長炭記念公園のほんまもん体験について紹介した。地場産品を扱い、訪れた人々へそれらの販売や観光地の紹介を行う案内所や休憩所として、旅行者に親しまれているのが「道の駅」だ。
道の駅は全国に1000カ所以上の登録がある。「駅」は、街道沿いで栄えた宿場を意味することに由来。県内には27カ所の登録があり、温浴施設を併設した椿はなの湯(白浜町)や、熊野古道や川の道との結節点として設けられている瀞峡街道・熊野川(新宮市)では、多数の旅行者が集う「駅」であることを感じさせられる。
鉄道駅であれば訪れた記念に入場券を買い求めるコレクターがいるが、道の駅にも同様の記念切符がある。「道の駅記念きっぷ」だ。筆者も、道の駅しらまの里(有田川町)で購入してみた。1枚180円と鉄道駅に比べると割高感はあるが、重みのある硬券で、スタッフの方が訪れた日付を捺印してくれる。
スタッフの方によると、全国の道の駅きっぷを集めるコレクターが何枚も買い求めるという。また、近畿の道の駅を巡るスタンプラリーで完走者には抽選で特産品などが当たるという試みが行われるなど、行程を幾度にも分け、自動車で近畿各地の観光地を巡る楽しみを提案。単なる休憩所ではなく、情報発信基地ともいえる、ドライバーに求められる旅の立ち寄り地点として、さまざまな工夫がされている。
県内外問わず、情報収集や旅の記念に、道の駅に立ち寄ってみてはいかがだろうか。そこでは、ガイドブックでは知り得ない地域の魅力にふれられるかもしれない。(次田尚弘/和歌山)