春らんまんの季節。 この週末を満開の桜の木の下で過ごされている方も大勢いらっしゃるだろう。 例年より早い満開宣言。 和歌山地方気象台の職員が紀三井寺にあるソメイヨシノの標準木を見て判断することはご存知だろう。 これを植物季節観測といい、 ウェブサイトから過去の記録や平均値を見ることができる。
ことしの桜の満開は3月26日。 これは平成14年と同じで観測史上最も早い。 一方で最も遅い記録は昭和63年4月12日だという。 これら毎年の平均値をとったのが平年の値。 和歌山の場合は4月4日だ。
観測は桜に限らず、 ツバキやタンポポなどもある。 例えば、 ツバキは2月21日 (平年は2月4日)、 タンポポは3月12日 (平年は3月5日) といった具合だ。 他にも動物季節観測があり、 ウグイスやモンシロチョウなど、 季節を代表する動植物を観測している。
これらは気象台の職員が、 桜を除き、 気象台の構内や和歌山城の周辺で確認しているという。 四季の変化を動植物の行動で察知し記録する、 古典的で日本らしい情報の収集が魅力的。 それを職業にできる職員さんがうらやましい。
和歌山城の公園内に提灯が設置されはじめたのは昭和51年からで、 意外に日が浅い。 観光資源化のための取り組みとして始まったのだろうが、 四季に触れ楽しむ機会が減った人々に春を演出しているようにも感じられる。
和歌山は自然が豊富で観光とも密接な関係。 満開の桜、 鳥のさえずり、 春の味覚や心地よい空気を、 はやりの言葉 「いつ行くか、 今でしょ」 のごとく、 春の和歌山を五感で感じ、 楽しみたい。 (次田尚弘/和歌山)