民間バスの路線廃止から3年半、和歌山市の紀三井寺地区で4月1日から、地元住民が運営主体となる県内初の仕組みによる地域巡回バス 「紀三井寺団地線」 の運行が始まる。 高齢者をはじめ地域の交通弱者の新しい足として期待されており、バス車両のお披露目式が29日、 同団地自治会館前で開かれた。
同地区では、 平成21年10月に和歌山バスが路線を廃止した直後から、 高齢者が多い自治会が復活を要望。 市と協議を重ね、 自治体が100%補助する一般的なコミュニティーバスとは異なる、 住民主体の運営とすることが決まり、 運営主体として紀三井寺団地4自治会の役員らで構成する 「紀三井寺団地地域バス運営協議会」 (小淵定美会長)を立ち上げた。
運行経路は、 JR紀三井寺駅からオークワ紀三井寺店を結び、 県立医大付属病院やスーパーなど13カ所にバス停を設置する。 平日の午前7時台から午後5時台までの6往復12便で、 運行は有田鉄道㈱に委託する。
市は車両とバス停を購入し、 無償貸与している他、 初年度は運行経費の9割を上限に補助する。
車両はトヨタのハイエースコミューターをバス仕様に改造した13人乗り(運転手含む)。 車体に描かれた鮮やかな市の花・ツツジは、 昨年市の公用電気自動車のデザインに採用された市立和歌山高校3年(当時)湯垣里菜さんの作品をモチーフとしている。
お披露目式には市関係者や地元住民ら約100人が出席。 大橋建一市長は 「住民運営のバスは県内初のケースで注目されている。 地元の力で作ったバスを、 乗ることでもり立て、 育ててほしい」 とあいさつした。
式典後、 住民らはバスに試乗し、 待望の地域の足の復活を喜んでいた。 小淵会長は 「山あり谷ありだったが、 運行が実現して本当にうれしい。 住民に継続して乗ってもらうことが大切なので、 頑張っていきたい」 と話していた。