分散した農地や耕作放棄地を集積し、経営規模を拡大したい農家や新規就農者などに貸し出す取り組みのため、国が都道府県レベルで進める「農地中間管理機構」の業務が全国でスタート。県内では県農業公社が同機構として指定を受け、今月から、JAや各市町などで構成する「農地活用協議会」と連携する独自の手法により、効率的な農業経営に向けた取り組みを本格化させている。
県内8地域に設置された同協議会は、借り受ける農地の掘り起こしを進め、貸したい人の農地に関する相談を随時受け付ける他、借りたい人とのマッチング作業を行う。同公社は、借り手の農家を年4回(本年度の初回は今月31日まで)公募し、まとまった農地を利用できるように調整する。
経営転換やリタイアによって農地を貸し出す場合には「経営転換協力金」、同公社の借り受け農地などに隣接する農地を貸し出す場合には「耕作者集積協力金」が10年以上の貸し付けを条件に交付される支援がある他、貸し付け農地が一定割合以上に達した地域に対する交付金制度もある。
県単独の事業としては、樹園地を6年以上借り入れた担い手農家に対し、「果樹産地支援」として10㌃当たり2万円が交付される。
平成22年度の県内の耕作地面積3万4600㌶(25年度農林水産省公表値)に対し、担い手が利用する面積は9125㌶で26・4%にとどまる。県は、36年度には約2・5倍、66%の2万2836㌶まで増やすことを目標としている。
10日から18日にかけて、8つの農地活用協議会で第1回の会議が開かれ、今後の取り組みなどが話し合われた。
同公社業務班長の中村泰夫さん(46)は「意欲的な農地の借り手が増え、耕作放棄地を食い止める手立てになれば。貸し手と借り手をうまく結びつけられるように、業務を機能させていくことが重要になる」と話していた。