脳脊髄液減少症 (※用語解説参照) の患者支援や治療促進に取り組んでいる和歌山市のNPO法人 「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」 (中井宏代表理事) が、 県内で初めて、 寄付金控除など税制上の優遇措置を受けられる仮認定NPO法人となった。 幅広い市民からの援助が受けやすくなり、 活動の充実が期待されている。
認定NPO法人制度は、 広く市民の支援を受け、 適正な活動内容、 情報公開などの要件を満たすNPO法人を認定するもの。 昨年4月の法改正により、 認定元が都道府県・政令市となり、 一部の要件を除いた仮認定の制度も創設された。
認定・仮認定の団体に寄付すると、 個人は、 寄付額から2000円を引いた額の40%を所得税から、 10%を個人住民税から控除され、 法人は損金算入限度額が拡大されるメリットがある。 同協会の仮認定は3月29日からの3年間。
同協会は平成14年8月、 中井代表理事ら元患者が設立し、 患者と家族の支援、 治療への保険適用や研究推進を国に求める署名運動などを全国で展開してきた。
署名は16年12月に約10万人分を厚労省に提出したのを皮切りに現在も継続し、 ことし3月13日には新たに約14万人分を桝屋敬悟副厚労相に手渡した。 県を含む全国の自治体でも、 保険適用などを国に求める意見書が採択されている。
同症が一般にほとんど認知されていない頃から活動を始めて約11年、 中井代表理事は 「ターニングポイント」 を感じているという。 「患者支援のネットワークを活発にしていく上で、 市民から支援が受けやすくなることは大きい」 と仮認定の意義を話す。
仮認定とほぼ同時期、 脳脊髄液減少症をめぐる訴訟にも大きな進展があった。 作業中に首を負傷した県内の元配管工の男性 (42) の労災事故と同症発症の因果関係を認め、 国に労災認定の見直しを命じる全国初の判決が4月16日、 和歌山地裁で言い渡された。
国は判決を不服として30日に控訴したが、 同協会はじめ患者団体側は同地裁判決を 「画期的」 と受け止めている。
中井代表理事は 「理解されない中で続けてきた市民活動の声が、 行政や司法に届くようになってきた」 と話し、 協会の活動の充実に意欲を見せている。