和歌山市民会館で21日までを会期に開かれている「第63回市美術展覧会」(市展)の洋画部門で、ことしは特に高校生の入選が目立っている。紀南方面の高校生の入選が多く、本紙エリアでは県立粉河高校美術部の3年生で部長、城志帆さんと副部長の末永紫乃さんのアクリル画が入選した。
13日まで展示中の「洋画」部門では、高校生の作品16点が入選。市文化振興課によると、例年22歳以下の出品は多くて10点ほどだったが、ことしは高校生の応募だけで21点あったという。
審査員による全体評でも「若さ、エネルギーを感じる作品が特に新鮮だった」と評価された。
2人は同部顧問の南洋平教諭(38)に勧められ、初めて出品。城さんの作品「見通す」(91㌢×65㌢)は、末永さんをモデルに、切り株の上に立ちぼんやりと遠くへ視線をやる姿を、柔らかな筆遣いで描いている。城さんは「目線や表情に気を配った。3年生になって、進路など将来を考えるという意味合いも込めて表現しました」と話す。
末永さんの作品は「午後の読書」(91㌢×73㌢)。夕暮れどきの校庭で、読書にふける自分自身を描いた。黄金色の落ち葉のじゅうたんに、深い色の制服が映え、静かな時間の流れが感じられる作品。
キャンバスに絵を描くのが初めてだったという末永さんは「夕日に照らされた制服は、なかなかいい色が出なくて苦労しました。良い評価をもらえてうれしい」とにっこり。
指導する南教諭は昨年の市長賞の受賞者。これまで生徒と一緒に出品することが多く、互いに良い刺激になっているそうで「2人とも最後まで粘り強く頑張ってくれた。年齢層もさまざまな市展への出品は、いろんな表現にふれるいい機会。今回の応募は自己表現の入り口になったのかなと思います」と話している。