国の文化審議会(宮田亮平会長)は20日、和歌山市和歌浦西の和歌浦天満宮と紀州東照宮の両境内、御手洗池一帯を国の名勝「和歌の浦」に追加指定するよう下村博文文部科学相に答申した。「和歌の浦」は、平成22年に玉津島神社を中心とする和歌の浦干潟など約90万平方㍍が平成22年に名勝指定されており、今回の追加指定により、指定範囲は約99万平方㍍になる。県内の国名勝は11件(追加指定のため変動なし)。
和歌浦天満宮は10世紀の創建と伝えられ、豊臣秀吉の兵火による焼失後に再建された。菅原道真が太宰府へ赴く途中、風波を避けて立ち寄ったと伝えられる。橘直幹がこれをしのんで創建したとされ、近世の和歌浦を知る上で重要な史跡。
紀州東照宮は、紀州徳川家の祖、徳川頼宣が父の家康をまつるために建立された。毎年春に行われる「和歌祭」は大勢の観衆を集めて親しまれ、江戸時代からの絢爛(けんらん)豪華な風流の世界を伝えている。
御手洗池一帯は、和歌の浦の原風景である入江の痕跡を残している点などが評価された。
和歌浦天満宮の小板政男宮司(73)は「ここから眺める絶景は何物にも代え難く、後世に伝える義務を感じます。国にお墨付きをもらったことで気を引き締めて、全国からお客さまをお迎えしたい」と話し、紀州東照宮の西川秀紀宮司(68)は「史跡になることで、皆さんに一層大切にしてもらえ、風光明媚(めいび)な昔のままの景色を味わってもらえる。和歌浦の発展にもつながれば」と喜んだ。