和歌山市の大橋建一市長は2日、定例会見で、自営業者などが加入する本年度の国民健康保険料率を引き下げると発表した。国保年金課によると、負担の限度額は一部、引き上げられたものの、全加入者が支払う保険料が実質減額されるのは、制度ができて50年以上の歴史の中で初めてという。ことし4月末現在の市内の国民健康保険加入者は、10万1859人。
減額するのは、医療分のうち、1世帯当たりの人数を乗算する「均等割」で、これまでの年間2万7840円から2160円引き下げ、2万5680円に改定する。
同課によると、国民健康保険事業特別会計は、制度誕生から医療費の増加などで年々膨れ上がり、平成2年のピーク時には、累積約90億円の赤字を計上した。その後に、収納率の向上や医療費抑止、ジェネリック(後発)医薬品使用推進などに取り組み、平成18年度に単年度黒字化を達成。同24年度決算では、長年抱えていた累積赤字も解消することができた。滞納収納率も改善しており、同23年度の14%(3億6300万円)から同24年度には23%(6億1200万円)まで上がった。
保険料減額については、市議会の負担引き下げ要望などもあった。同課は「市民の負担が少しでも軽減することになれば」と話している。