明治天皇の玄孫にあたる作家、竹田恒泰さんの講演会「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(県青年僧の会主催)が10日、和歌山市民会館大ホールで開かれた。会場は満席で、竹田さんは「日本人の精神は宝。これを守り、若い人たちに伝承することができれば、日本に何があっても乗り越えられる」と語った。
「日本人ほど日本を愛していない国はない」と、竹田さんは自国に誇りを持たない現代社会を指摘。原因に第2次世界大戦の敗戦を挙げた。日本との戦いに苦戦した米国が再び日本と敵対しないようにと日本を占領し、米国軍人を中心とするGHQ(連合国軍総司令部)の施策で日本を造り直した経緯を説明。施策により、日本の神話や古事記、日本の輝かしい歴史を教科書に掲載しなくなり、教科書から日本の誇りを感じることはなくなったとし、日本を愛せなくなっていると話した。
しかし、東日本大震災を境に、日本人の意識は変化しているという。震災時は他人と協力し合い、助け合い、自らの力で立ち上がろうとする姿に世界が驚き、感動していたことを話し、この姿こそが世界とは違う日本の精神であると説明。「世のため、人のためにどれだけ生きられたか。他のために生きる『和』の精神が日本人の気質」とし、後世に和の精神や日本人としての誇りを受け継いでいく大切さを語った。