熊本県多良木町の養鶏場で、高病原性鳥インフルエンザに感染したとみられる鶏が確認されたことを受け、県は、県内85戸の養鶏場などに対し、防疫対策を目的にした緊急の立ち入り調査を開始した。調査は、今週中にも完了させる予定。
熊本県の同養鶏場では、2カ所計約11万羽が処分された。ことしに入り、韓国で鳥インフルエンザが大流行しており、専門家らが、渡り鳥などからの原因も含めて感染ルートを調べている。県内では、初めてとなる平成23年2月に紀の川市内の養鶏場で、同病原体に感染した疑いがある鶏が確認され、12万羽が処分された。
紀北地区などの畜産農家の監督指導などを行っている県紀北家畜保健衛生所(和歌山市園部)では15日、職員2人が、検査キットや消毒剤を車に積み込み、有田方面の養鶏場10カ所での調査に向けて出発した。訪問先では、部外者の立ち入り制限の徹底や野鳥の侵入を防ぐ防鳥ネットの状態確認、出入り口の消毒が徹底されているか――を中心に調査し、啓発指導する。
同所の中本和弘所長(57)は、「渡り鳥が飛来する時期以外の熊本県での発生に驚いている。異常鶏が発見された場合はすぐに通報を」と注意を促し、消費者に対しては、「鳥インフルエンザに感染した鶏肉などを食べても、人に感染した例はないので、安心してほしい」と風評被害が出ないように呼び掛けている。