文科省「地域イノベーション戦略支援プログラム事業」の本年度成果報告会が11日、和歌山市内のホテルで開かれ、県内の招へい研究者の活動や研究開発事例の報告が行われた。
地域資源の活用に取り組む研究事例では、県果樹試験場うめ研究所の大江孝明さんが、「ウメ『露茜』産地化に向けた果実の赤色着色促進技術の開発」と題して報告した。
県の梅生産量は全国の6割以上を占め、うち約7割が梅干しに加工される。価格低迷などを受け、梅干し以外の加工品・新商品を開発するため、果樹研究所で平成21年に品種登録された赤色色素が豊富なスモモと梅の交雑品種「露茜」に着目。県での産地化に向けた研究開発に取り組んでいる。
大江さんは、「露茜」は完熟になるまで十分に着色せず、完熟果は鳥獣被害に遭いやすく栽培技術が確立されていないといった課題を挙げた。その上で、エチレン処理による追熟果実の研究内容を説明し、「着色や堅さ、光沢、大きさが収穫期の判断の指標になることが分かった」と伝えた。
今後は指標の適用性について異なる園地条件での検討を進めていくとしている。