暴力団との不適切な交際があったなどとして県警は21日、刑事企画課の男性警部補(44)を懲戒免職処分にしたと発表した。県警は同日、この警部補を地方公務員法違反(守秘義務)容疑で和歌山地検に書類送検した。「(情報漏洩は)覚えていない」と話しているという。
県警によると、警部補は平成24年12月6日夜、自己所有の携帯電話から、暴力団幹部に連絡し、過去に発生した傷害事件に関する捜査着手情報を漏えいした他、昨年4月から12月までの間、暴力団幹部への電話や面会を約20回行った疑いが持たれている。
警部補は、暴力団捜査などを行っている組織犯罪対策課に延べ14年間所属。その際に暴力団幹部と接点を持ち、業務以外での交際を続けていたという。本来ならば、暴力団関係者と接触する際に必要である、上司への報告もしていなかった。別事件で逮捕し取り調べていた暴力団幹部が交際をほのめかしたことから発覚したという。
また、同警部補は平成7年から20年3月ごろまでの間、別の署が被害届を受理し、自身が所属する署への捜査引き継ぎ資料を数十点自宅に持ち帰り、置いたままにしていたという。その際、14年2月に和歌山市内の男性が、現金50万円をだまし取られた融資関連の振り込め詐欺事件の捜査を滞らせ、21年2月に時効に至らしめた。
警視も処分
警部補が不適切に交際していた同じ暴力団幹部の話から、暴力団幹部との交際が発覚したとして21日、刑事部参事官兼刑事企画課長(56)と、機動捜査隊長(55)を減給の懲戒処分にした。2人は、ともに辞表を提出しており同日付で警務部付に異動した。
処分理由は、刑事企画課長が、平成16年ごろから同24年3月ごろまでの間、暴力団周辺者から複数回にわたり、飲食の提供を受けたり、暴力団関係者とつながりのある経営者のカフェレストランで所属課の懇親会を開いたりしたという。
機動捜査隊長は、同13年ごろから同24年10月ごろまでの間、暴力団周辺者から複数回にわたり、飲食の提供を受けるなど不適切な交際をしたとされる。
その他、女性との不適切な交際が発覚した総務課長の男性警視も21日付で戒告処分とし警務部付に異動した。辞表も提出されているという。
処分を受けて県警は21日付の人事異動を発表した。
【警視】総務課長(有田署長)保富速人▽兼・教養課術科指導室長・通訳センター長・体力向上指導室長事務取扱(教養課長)坂部義人▽刑事企画課長(捜査一課長)徳田太志▽科学捜査研究所長・同所鑑定指導室長事務取扱(教養課術科指導室長・通訳センター長・体力向上指導室長事務取扱)太田清太郎▽有田署長(科学捜査研究所長・同所鑑定指導室長事務取扱)乾弘【警部】兼・機動捜査隊長事務代理(機動捜査隊副隊長・調査官)柳本育男