今月4日に県が発表し発覚した公営競技事務所の出張旅費着服問題で県監察査察課は20日、同事務所勤務の大國良考副主査(31)を同日付で懲戒免職処分にしたと発表した。その他、管理監督に不備があったとして所長(58)を減給10分の1(1カ月)、同所次長(57)と総務課長(52)を戒告の処分にした。
発表によると、前回発表の昨年5月からことし1月にかけての6件の他に、新たに24年1月と25年1月にも着服が発覚。着服件数と金額は計9件、47万円と分かった。同課は、懲戒免職と厳しい処分を決定したものの、着服金が全額返済されていることや、不正の全容が解明されていることなどから告訴を見送る。一方で、県警に情報提供しており、立件されれば全面的に捜査協力する方針。
同問題をめぐっては、県と共同で競輪場運営を行っている県公営競技主催者協議会(報酬を県が負担)の職員が出張すると見せ掛けて架空の決裁文書を他人名義で作成し、上司の印鑑を無断で使用するなどして事務処理。出張前日に支払われる現金の出張費6件分を着服していた。また、体調不良などにより出張をとりやめ、県に返還するため職員から預かった旅費3件分も着服していた。着服した現金は趣味の音楽や借金返済に充てていたとみられている。同処分を受けて本年度の懲戒処分は5件8人になった。
県が職員借金相談窓口開設 県は同問題を受けて、再発防止策として、監察査察課が各所属の経理業務が適切に行われているか随時監察する他、人事課職員厚生室が、多重債務に陥り、誰にも相談できないでいる職員のための相談窓口を設置し、問題解決の支援を開始するという。
発表された支援策によると、必要に応じて、職員互助会と契約した多重債務など借金処理に詳しい弁護士が、民事再生法の適用や債権者との交渉などの助言支援する。また、多重債務の一元化を図るため、職員互助会と連携し、高金利債務の借り換えを支援する。記者会見で県の担当者は、「県職員の多重債務者はほんの一部」としながらも、「これまでは民間と同じ機関での借金解決相談だったが、今回は一歩踏み込んで、職員たちの立ち直りを支援したい」と述べた。