海南市の神出政巳市長は5日開会の市議会定例会で、整備を検討している市庁舎について、南赤坂の和歌山リサーチラボ社屋への移転で取り組みを進めていく方向性を示した。早期整備の実現と財政負担の軽減という考えに基づく判断。今議会に関連議案や補正予算案を上程している。
神出市長は定例会招集あいさつの中で具体的な移転先の方向性を明言。「検討懇話会からの意見を基に市政懇談会で説明、庁内で検討した結果、早期整備の実現と財政負担の軽減という観点から『株式会社和歌山リサーチラボ社屋への移転』が望ましいとの判断に至り、現庁舎の跡地活用やにぎわい創出とともに取り組んでいきたい」と議員に理解を求めた。
日方の現庁舎(海抜2㍍前後)は昭和40年に建設されて以来老朽化が進んでおり、市は平成19年度から資金を積み立て、昨年度から本格的に整備の検討を開始。懇話会を設置したところ「建て替えが必要」や「できる限り早急に津波の浸水リスクがない場所への建設」といった意見が集約された。
ことし5月から6月にかけての市政懇談会で津波浸水区域外への移転について広く市民に説明。反対意見がなかったことから具体的な移転先の検討を進めてきた。また、現庁舎跡地と周辺については市民の利便性、にぎわいを損なわず、活性化につながる活用に取り組んでいくとしている。
和歌山リサーチラボ社屋は平成8年竣工。鉄筋コンクリート5階建て、延べ床面積約6700平方㍍で、海抜60㍍以上に位置している。移転先として活用すれば増改築で済み、他への新築に比べて早期に実現、財政負担が軽減できると見込まれている。
定例会には方向性を一層明確にするための新庁舎整備基本構想・基本計画策定に係る予算案、基本構想・基本計画を調査審議するための新庁舎整備検討委員会設置条例案と予算案を提出。委員会は15人以内で組織し、市議、学識経験者、各種団体代表者、公募委員での構成を予定している。