参議院選挙で自民党は、大きな勝利をいただきました。衆参両院で多数をいただいた以上、国政運営のすべての責任は我々にあり、国民の期待に応えていくため、最大限の努力を尽くしてまいります。
そして石破幹事長は「緊張感を持ち、謙虚に、丁寧に、驕ることなく」と発言されていますが、与党議員全員は絶えず自重自戒しなければなりません。日本が正念場を迎えている時だけに、特に心する必要があります。
さてこの結果、余程のことがない限り、衆議院の任期切れが近い3年後の参議院選挙まで選挙はありません。それだけに、この間に政府・与党が何をするかが、日本の将来にとって大変重要な意味を持ちます。
現在の時代背景は、冷戦の終結から四半世紀を経て、さまざまな分野での大きなパラダイム・シフトを見通すことが可能となり、今後30~40年を形づくる新しい時代の入り口に立っていると言えます。すなわち、明治や昭和が四半世紀に及ぶ混乱期を経て、明確な目標を掲げながら新しい時代・新しい日本を形づくったように、いま我々は新しい日本を形づくるべき時にあります。
このことを踏まえると、この3年間で取り組むべき課題は2つあります。
一つは当面の課題で、何と言っても景気回復とデフレからの脱却です。現在のところアベノミクスは順調ですが、今後も三本の矢が的確に的を射抜くようにしていくことが必要です。
そのためには、まず財政出動での景気の下支えに、注意深く対応していくべきです。さらに成長戦略は、グローバル化・IT化・少子高齢化・地球環境など、時代の要請を踏まえたハード・ソフト両面にわたる対応を、民間企業が中心となって積極的に進めることであり、政治はそれを下支えするための施策に全力を挙げて取り組まねばなりません。
もう一つの課題は、新しい日本を形づくるための社会・経済システムづくりです。「新しい時代の入り口に立っている」との時代認識の下、従来のシステムでは対応できない新しい日本を形づくるための社会・経済システムを、腰を落ち着け3年間をかけて英知を結集して作り上げることです。
具体的には、人生100年時代の働き方・暮らし方・健康の維持・年金のあり方、グローバル時代やIT時代の経済・経営のあり方・金融・税制・雇用・人材育成、地球環境時代への対応、新しい時代の都会と田舎・国と地方の役割分担・中央省庁の再々編など、さらには教育や外交防衛など、多岐にわたるテーマが考えられます。
それぞれの分野の英知はもとより、哲学や社会学、心理学などの英知も交え、ハード・ソフト両面から議論を尽くして、今後数十年にわたる日本の目指すべき指針を作り上げることが必要です。そして3年後には、その未来図を国民に提示すべきです。
政府・自民党は、当面の課題への適切な対応はもとより、今後数十年に及ぶ新しい時代への適切な対応も果たしていくべき責務を負っています。まさに日本にとって正念場を迎えています。しっかり頑張ります。