国の文化審議会が19日に答申した登録有形文化財に、県内では、和歌山市の県庁本館と日高川町の寒川家住宅の2カ所8件が選ばれた。県庁本館は昭和13年の完成以来、戦禍をくぐり抜け、75年にわたって県民に親しまれてきた県を代表する建造物。すでに文化財登録されている現役の都道府県庁舎は、愛知、静岡、神奈川の3県のみで、関西以西では初。これにより県内の登録文化財(建造物)は62カ所、168件となる。
本庁舎は鉄筋コンクリート造り、4階建て。建築面積2630平方㍍。和歌山大空襲を経て戦後の復興や発展を見守り続けた、県を代表する近代洋風建築の一つ。外壁は淡い黄色のタイル張りで、正面はテラコッタ(素焼きの装飾)で飾っているが、全体は装飾的要素が略されたモダンな外観となっている。
設計は、当時鉄筋コンクリート構造の権威だった内田祥三(よしかず)東京帝大教授を顧問に、県技師の増田八郎が担当した。
同市は和歌山大空襲で広範囲な地域が戦災を受けたが、本庁舎は正庁、知事室、県議会議場、階段室など完成時の姿をよく残し、歴史的建造物として価値が高いと評価された。
仁坂吉伸知事は「このような歴史的建造物を保存し、活用していくことは大変有意義なこと。今後も、地域の貴重な財産である文化遺産の保存と活用に取り組み、魅力的な郷土づくりを進めていきたい」とコメントしている。