障害者スポーツの祭典「紀の国わかやま大会」がいよいよ24日に開幕する。紀の川市の粉河運動場で行われるソフトボール(知的障害)に出場する県チームの14人は、捕手の萬谷和彦選手(22)、投手の一夫選手(24)の兄弟バッテリーを軸に、優勝を目指して意気込んでいる。
知的障害者のソフトボールは、ルールは一般のソフトボールとほぼ同じだが、振り逃げ、盗塁、スクイズは認められていない。
県チームは、県大会で2連覇したコスモスワイルドボアーズのメンバーを中心に昨年秋に結成。鳫幕潤監督は「守りのチームに仕上がった」と話す。萬谷兄弟のバッテリーを中心に、守備範囲が広く送球が光る遊撃手の村上宜玖選手(24)や二塁手の松本政司選手(20)らが堅い守りを築く。
弟の和彦選手は、㈱あおぞらケアセンターデイサービス「あおぞら夢」(和歌山市小雑賀、竹本哲雄管理者)のスタッフ。ソフトボールを始めたのは有功ヶ丘学園(同市園部)の中学1年のころ、学園の職員からルールや技術を学んだ。16歳でコスモスワイルドボアーズに入団すると、一塁手や外野手を中心にさまざまなポジションを経験し、昨年の秋に捕手となった。
鳫幕監督は「最近は自信がついてきた様子。投手の球をしっかり捕り、投手も安心して投げることができる」と信頼を寄せている。
「大きな声を出してチームをまとめるようにしています」とチームプレーを心掛ける和彦選手。捕手としての苦労は、「投手に出すサインを覚えるのが大変だった」と話す。球を捕るときは手が痛むため「嫌になる時もある」が、「上手になっている実感があるから続けている」と前を向く。大会に向けては「緊張せずに、一生懸命頑張って優勝したい」と力強く語った。
兄の一夫選手は、スタミナ豊富で打たせて取るタイプ。コントロールが良く、ストレートとチェンジアップ、ライズを使い分けてアウトカウントを重ねていく。チームの練習が終わった後も、兄弟だけで自主トレーニングを行い、互いに技を磨いてきた。一夫選手は「兄弟で一緒に試合に出られる貴重でうれしい機会。2人の力で完封を目指したい」と意気込んでいる。
紀の国わかやま大会には7チームが出場する。県チームは2回戦(準決勝)から登場し、25日午前10時40分から、長崎県―千葉県の勝者と対戦する。
鳫幕監督は「一つでも多く勝ちたい。試合の中で選手の普段の力を出せれば良い結果につながる」と話している。