和歌山市は今月中旬から、市民から土地を借り受け、公園として活用するための候補地の公募を初めて実施する。対象地域は高松地区。敷地内に建物などが存在している場合も対象に含めて募集するとしており、全国的にも珍しいという。
市によると、同地区では、昭和41年8月25日から約50年間にわたり住民に親しまれてきた市の借地公園「高松児童遊園」が、商業施設建設のため、ことし6月末で地権者に返還。遊具なども撤去され、公園が一つなくなった。地区内には他に5カ所の公園があるが、いずれも小規模なため、自治会を中心に公園確保の強い要望が寄せられたという。
今回募集する土地の条件は、敷地面積が500平方㍍以上で、敷地内に建物がある場合でも、延べ床面積300平方㍍以内ならば市が解体撤去を引き受ける。その他、無償貸与や20年以上の契約などの条件がある。
募集に合わせて市は、市議会9月定例会で可決、成立した本年度一般会計補正予算で、公園整備事業として空き家などの解体撤去費用900万円を確保した。
市公園緑地課によると、市内の借地公園は現在、12カ所。敷地の固定資産税や都市計画税が免除され、相続税も減免されるなど地権者にもメリットは大きい。同課は「今回の事業がうまくいけば、他の地区での募集も検討していきたい」と話している。