今月22日にユネスコの世界文化遺産に登録された富士山。遠く離れた本県でも、富士山を望むことができる最遠の地が存在した。紀伊半島南東部に位置し、富士山から約320㌔離れた那智勝浦町では、新宮市の写真家、楠本弘児さんが平成7年に大雲取山(標高965㍍・距離320㌔)、同9年に妙法山(同749㍍・322・6㌔)からの富士山の撮影に成功している。
同町によると、古くから、熊野詣での際に熊野古道から「富士山が見えた」との言い伝えがあり、地元の山師の間でも、「妙法山から富士山が見える」といわれていたという。
両山から富士山が見えるのは、前方に高い山脈がないため。実際に見るには、富士山までの間に雲がなく空気が澄んだ早朝などの好条件が必要という。現在の最遠の地は、同町内の色川富士見峠で322・9㌔に更新された。
富士山の世界文化遺産登録を受け、同町は「まちの一つの魅力として、今後イベントの開催なども検討して活用していきたい」と話している。