ギリシャの財政破たんは食い止められそうですが、日本は大丈夫でしょうか? 今、GDP比で230%を超える借金は、国民一人当たり約800万円にもなります。安倍政権は、2020年度に基礎的な財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す新たな財政健全化計画を発表しました。
その前提は、名目成長率3%、実質2%の成長率。今の潜在成長率が0・3%程度ですから、今後5年間、こんなに高い成長が続くと見込むのは甘すぎます。税収も毎年5%ずつ伸びていくというバラ色の計算です。それでも、20年度に約6兆円の赤字になります。
実際、今年の4―6月期のGDPは前期比年率マイナス1・6%となりました。同じ時期、企業収益は史上最高を記録。雇用統計も上出来です。それなのに個人消費が落ち込んでのマイナス成長。アベノミクスによる円安で物価が上昇、実質賃金がマイナスのため、庶民はお金を使えません。大企業やお金持ちのための政策では景気がよくならないことが判ってきました。今年度も実質2%の成長は困難です。しかも、安倍さんには頼みの綱の株価も先週から3000円近く暴落したあげく、乱高下で当てにはなりません。たった1カ月で財政再建計画の底が割れてしまいました。
一方で、歳出カットは18年度からスタートするというやる気のなさ。それで、6兆円の財源をねん出する予定ですが、内容はジェネリック医薬品を増やして医療費などを削減する程度。来年度の予算編成でも、予算の上限(シーリング)を決めずに、今まで通り大盤振る舞いになりそうです。
今は金利が低く、10年物の国債でも0・4%程度。しかし、仮にアベノミクスが成功して、景気が良くなれば、金利も上がってきます。すでに借金は1000兆円を超えていますから、金利が1%上がれば、5年目に6兆円、2%上がれば12兆円利払い費が増えます。これは消費税5%分にあたります。そうなると、もはや予算は組めません。財政が破綻(はたん)し、急激なインフレ、円安になって、私たち国民の生活はめちゃくちゃになります。
財政再建のための計算は、厳しめに見積もって、それ以上に景気がよくなって税金の収入が増えたら、早めに借金を返すようにすべきです。私は、国民に耳の痛い歳出カットや負担増の課題から逃げることなく、今、投票権のない子どもや孫の世代に責任を持つ政治家を目指します。