海南市の下津湾で捕れたハモで地域おこしを目指そうと、「鱧の街・菓子の街 海南プロジェクト実行委員会」(新谷武一委員長)が活動している。新しい食事メニューや土産品の開発に向けて、27日には市立海南下津高校で、地元の飲食業者ら約25人を集めてハモ料理の講習会を開いた。
同実行委員会によると、「海南市をPRする際、自然や人情以外、形あるものとしては黒江の漆器の他にはこれといった名物が思い浮かばないことが残念だった」とし、そんな現状を打破するため、「昔から海南で盛んである漁業の中でも特に歴史ある下津町のハモ漁に注目して、地域活性化を図ることにした」とプロジェクト始動の経緯を説明する。
初開催となった今回のハモ料理講習会は、わかやま産業振興財団が足腰の強い地域産業の創出を目的に行っている「わかやま中小企業元気ファンド」産業支援機関事業の助成を活用し、下津町商工会が主体で実施した。
第1回は「まず地元の業者からハモに興味を持ってもらおう」と企画。講師に大阪調理師会の佐藤友重会長、和歌山市のフランス料理専門店「JOY味村」の味村正弘さんを迎えた。参加者は、ハモの骨切りや加工・保存の手法を学んだ他、ハモが主役のフランス料理の調理を見学した。
熱心にメモを取っていた同市藤白の日本料理店「神田屋」の神田隆文さん(59)は「フランス料理のハモの使い方や盛り付け方などを、日本料理にも取り入れたい」と話していた。
新谷委員長は「高級魚で手が出しにくいというハモのイメージを覆すことができれば、食事から土産まであらゆる分野に活用できる」との戦略を描いており、「海南に行けばおいしいハモ料理が食べられることを全国にアピールできれば」と今後の活動に意欲を見せている。