国の文化審議会(宮田亮平会長)は17日、友ケ島灯台(和歌山市)と、なかがわ(旧中川家住宅、御坊市)の主屋と東蔵、西蔵の建造物の2カ所4件を登録有形文化財とするよう、文部科学大臣に答申した。これにより県内の同文化財(建造物)は75カ所201件となる(写真はいずれも県教委提供)。
県教委によると、友ケ島灯台は紀淡海峡に位置する沖ノ島西端に建つ西洋式灯台。慶応3年(1867)に江戸幕府が兵庫港の開港に備え、英国との間で建設を取り決めた5基の灯台の一つ。明治5年(1872)に完成し、設計者は政府の招きで来日した英国人技師のリチャード・ヘンリー・ブラントン。ブラントンは全国に多くの灯台を設計し、日本における灯台の父とも呼ばれている。
灯台は石造りで高さ12㍍、建築面積55平方㍍。円筒形の灯塔に半円形の付属舎が付く形式で、頂部は鉄板ドーム形をしている。
現存する国内初期の洋式灯台の一つとして貴重であり、今もなお現役の施設として船舶交通の安全に寄与し、地域の人々にも親しまれている点が高く評価された。
なかがわ(旧中川家住宅)は御坊市中心部の古い建物が並ぶ寺内町に位置。山林業を営む中川家の居宅として昭和前期に建設された。主屋と西蔵に残る棟札から、昭和12年(1937)に建築されたと分かる。昭和40年代まで居宅として利用されたが、現在は社会福祉法人県福祉事業団が所有。平成26年に修理が行われ「なかがわ」の名称で、敷地内ではそば店が営まれ、住宅内を芸術発表の場とするなど活用が図られている。
主屋は木造平屋建て一部2階建て。屋根は瓦ぶきで建築面積は308平方㍍。伝統的な町屋の形式とは異なり、表通りから少し入った中央部に玄関があり、表側に店と洋風応接室、中庭を挟んだ庭園側に座敷などを配置。
良材を用いた昭和前期の優れた近代和風住宅として規模も大きく貴重であり、御坊の歴史的景観に大きく寄与するとして評価された。