戦争中の米軍B29の空襲により1400人以上が死亡した和歌山市。最も犠牲が大きかった和歌山大空襲から70年がたった7月9日、市内各地で追悼行事が行われた。惨禍を体験した市民も高齢化し、戦争記憶の風化が懸念される。戦争体験者や遺族は、戦争の悲惨さを語り継ぐことの大切さをかみしめ、次世代を担う若者たちも、戦没者や戦災者を二度と生まないよう、不戦の誓いを新たにした。
和歌山市西汀丁の汀公園では、市戦災死者追悼法要が営まれ、約200人が参列し、肉親の霊に祈りを捧げた他、市内の小中学校の児童生徒らも参加して、犠牲者の霊を弔った。
市戦災遺族会(吉田フミ子理事長)が主催。式では、和歌山大学教育学部付属中学校と市立八幡台小学校の児童生徒が千羽鶴を奉納。同中学校生徒会の原田洋旭会長(15)は「戦争は国家間の対立により引き起こされたが、犠牲となったのは一般の人たち。それが悔しくてなりません」と戦争の無意味さを語った。同付属小学校の児童らも、平和への願いを込めてつづった思いを朗読した。
吉田理事長(86)は「戦後70年の年を迎え、今後は私たちの思いを語り継ぐ第二世を育ててほしい」と話していた。