日本とトルコの友好交流の契機となったトルコ軍艦・エルトゥールル号の遭難からことしで125周年を迎えたのを記念し、和歌山市の水彩画家・志磨隆さん(72)は、記念行事のために来日したトルコ海軍のビュレント・ボスタノール総司令官に、エルトゥールル号を描いた水彩画を贈った。
志磨さんは海や船舶を題材にした作品を数多く描いていることで知られ、自衛隊や米国海軍の艦船などの絵画も手掛け、寄贈する活動を続けている。
今回贈った作品は「ボスポラス海峡で出発を待つエルトゥールル号」(70㌢×83㌢)。残された古写真を参考にし、出港準備中のエルトゥールル号を仮想現実的に描いている。
贈呈は東京都渋谷区のトルコ大使館で開かれた晩餐会の席上で行われた。志磨さんは「エルトゥールル号の旅」と題して数点の絵を完成させており、席上ではアフメト・ビュレント・メリチ駐日トルコ大使から、同大使館でのエルトゥールル号を描いた作品の展覧会開催も話題に上ったという。
志磨さんは「残された1枚の写真やさまざまな資料を参考に描き、船の形を再現するのに苦心しました。日本とトルコの友好に少しでも貢献できれば」と話していた。
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志磨さんはまた、神奈川県綾瀬市の海上自衛隊航空集団司令部(通称・厚木基地)を訪ね、航空機を題材にした水彩画「30tの波紋(70㌢×60㌢)を、佐藤誠航空集団司令官に贈呈した。
描いたのは総重量が30㌧を越す世界最大の掃海・輸送ヘリコプターMH―53E。海面に大きな波紋をつくりながら飛行する様子を表現しており、佐藤司令官は「航空機の力強いダウンウオッシュ(下向きの気流や風)を感じることができ、大変感動しました」と話し、寄贈に感謝した。