今週は、正式競技の軟式野球とデモンストレーション競技のスポーツ吹矢が行われる湯浅町を紹介したい。
湯浅町は人口約1万2000人の町。しょうゆ発祥の地として知られ、紀伊水道に面した交通の要所として発展してきた。熊野古道が商店街を通る唯一の町として歴史的価値の高い地域でもある。
湯浅駅から程近い「重要伝統的建造物群保存地区」はぜひ訪れてほしいところ。白壁の土蔵や格子戸、虫籠(むしこ)窓など、湯浅醤油の伝統と歴史を感じられる家並みが、東西約400㍍、南北約280㍍のエリアに残り、平成18年に文部科学省から認定を受けた。
現在もしょうゆの醸造が盛んなしょうゆ工場や、しょうゆづくりの歴史を学ぶことができる資料館、しょうゆづくりの原点といえる金山寺味噌の販売店が建ち並び、しょうゆの香りが漂う。最近は「町歩きモデルコース」ができ、駐車場や休憩所、ギャラリーが整備されるなど、より深く、湯浅の伝統・歴史にふれられるようになった。
町歩きに加え、食べ歩きもお薦め。湯浅湾で水揚げされるシラスをふんだんに使ったしらす丼は逸品。店頭に掲げられた「紀州湯浅しらす丼」の旗が目印だ。また、古くから家庭料理として受け継がれてきた、サバのなれずしは日本三大くさり寿司の一つ。
他にも、干物や金山寺味噌の具材として用いられる湯浅なすなど、歴史深い町ならではの特産品が盛りだくさん。湯浅町で伝統と歴史が奏でる食文化も楽しんでほしい。
(次田尚弘/湯浅町)