病気や事故の際、近くにいる人に救援を求めることができるスマートフォン用アプリを、全国の自治体で初めて、県とNTTドコモが共同開発した。スマホのGPS機能を活用し、周囲300~500㍍にいるアプリ利用者にSOSを発信したり、受信したりできる。救急車到着までに応急処置を行えるチャンスを増やし、救命率アップを目指す。
県によると、心臓停止では約3分、呼吸停止では約10分で50%の人が死亡しているが、119番通報から救急車到着までには平均8分かかっており、この「空白の8分間」を埋めることができないかと議論してきた。
各地にはAED(自動体外式除細動器)の使い方などを学んだ救命講習の受講者がいる。しかし救援が必要な人がいることを知らなければ助けに行くことはできず、スマホを使ってそういう人たちに現場に駆け付けてもらうことはできないかと、NTTドコモにアプリ開発を持ち掛けた。
アプリの名称は「My SOS」。SOS要請を「受信する」「受信しない」を選んで登録できる(受信する人は救援され救援も行うが、受信しない人は救援されるのみ)。4月9日に公開し、5月13日現在、全国で1240人がダウンロード。うち210人(県内50人)が「受信する」に登録している。
同アプリではSOSを発信・受信できる他、近くにあるAEDや医療機関の場所も地図に表示可能。救命処置ガイド、小児救急ガイドなども確認できる。
県危機管理・消防課の担当職員は「応急処置の専門知識がなくても、AEDを取りに行く、交通整理を行うことなども十分助けになる。一人でも多くの人にアプリをダウンロードしてもらい、『受信する』方に登録してもらいたい」と話し、積極的な利用を呼び掛けている。
今後、行政、消防、医療機関の関係者、救命講習受講者などへの登録の働き掛けも積極的に進めていく。対応OSはiOS7・0以上、AndroidOS4・0以上。
問い合わせは同課(℡073・441・2274)へ。