南海電鉄(亘信二社長)と和歌山市の尾花正啓市長は18日、市役所で市駅前活性化構想に関する記者会見を開き、市駅を改築し、駅ビル内に市立図書館を移設させることなどを発表した。高島屋が撤退するなど市駅周辺に衰退ムードが漂う中、駅ビルや周辺施設の刷新を契機に、再び市駅を中心としたにぎわい創出を目指す。
同構想は市、県、南海電鉄の3者が平成25年度から、再活性化を目指して協議を進めていた。
駅ビルの改築は南海電鉄が主体となって進める。第1期工事はすでに準備工事に入っており、平成29年春までに、鉄骨7階建てのオフィステナントと、改札を1階に移してバリアフリー化した新駅舎を完成させる。事業費は国の市街地再開発事業を活用し、約40億円を予定。
詳細未定の2期工事(平成29~32年度予定)では、現市駅ビルを解体撤去し、市民図書館と商業施設用の建物をそれぞれ建設。市がバス、タクシー、自家用車用のターミナルを設けた駅前広場の整備を行う。
図書館建設は、事業費約29億円を見込む。国の都市再構築戦略事業を活用し、国と市が半分ずつ負担する予定。施設には、会話ができる「コミュニケーションゾーン」や、静かに本が読める「読書ゾーン」、こども用の「こども賑(にぎ)わいゾーン」、「学習・研究ゾーン」を創設する。現図書館は耐震工事を行い、生涯学習施設として再活用する。
会見で尾花市長は「これからは、人と人がふれあえる図書館がまちの拠点になる」と施設の重要性を強調。亘社長は「利用客が減っている中、駅周辺もにぎわいがなくなっているのが現実。われわれとしては重要なターミナルである和歌山市駅にてこ入れしたい」と語った。
仁坂吉伸知事は「県都和歌山市の再開発事業については、つとにその必要性、意義を強く主張してきたが、ついにその第1号が実現に向けて第一歩を踏み出したことは誠に喜ばしい。この構想を早期に実現するとともに、周辺地域の再開発等への起爆剤となることを大いに期待する」とのコメントを出した。