江戸時代から受け継がれている紀州東照宮(和歌山市和歌浦西)の大祭「和歌祭」が17日、和歌浦地区で盛大に催された。最大の見せ場「神輿(みこし)おろし」では男衆がみこしを左右に揺らしながら威勢よく108段の石段を駆け下り、「渡御行列」では華やかな時代衣装に身を包んだ約900人が演舞を披露。地区全体が祭り一色に染まり、華やかな時代絵巻が繰り広げられた。
同祭は初代紀州藩主、徳川頼宣公が父の家康公の霊を慰めるため1622年に始めた。「神輿おろし」は重さ約2㌧の大みこしを100人の男衆が担ぎ、東照宮本殿から続く石段を駆け下りる神事。「チョーサー、チョーサー」という独特の掛け声とともに勇ましく下りると、見守る人たちは大きな拍手で迎えた。
東照宮から片男波の御旅所(おたびしょ)を通り、神社まで戻ってくる「渡御行列」は、約4㌔を子供連尺や舞姫、武者や薙刀(なぎなた)振などさまざまな演目が練り歩き。沿道のカメラマンは盛んにシャッターを切っていた。
このうち「百面」とも呼ばれ、喜怒哀楽の表情を表した面被(めんかぶり)は、子どもを見つけると鳴り物を鳴らして驚かせた。泣かされた子どもは健康に育つといわれ、大泣きした子もあめをもらうと、すぐに笑顔になっていた。
長男の海翔(かいと)君(3)と訪れた同市野崎の疋田由美さん(43)は「和歌山市に移り住んで10年になりますが、初めて来ました。地域の小さな祭りかと思っていたら、行列もたくさんあってびっくり。神輿おろしは迫力があって圧倒されました」と感激の様子だった。