「第2の報酬」と批判の声もある政務活動費について和歌山市議会は、透明性を高めようと動いている。市議会広報委員会で議論を重ね、昨年12月に、平成25年度交付分から政務活動費の収支報告書を市議会ホームページ上で掲載を始めた。統一地方選後半戦の同市議選は告示が19日に迫った。市議会を取り巻く課題を取材した。
市議会の政務活動費は、会派ごとに所属議員1人につき月10万円を支給している。公開されている政務活動費収支報告書は、研究研修費▽調査費▽広報費▽広聴費▽要請・陳情活動費▽会議費▽資料作成費▽資料購入費▽人件費▽事務所費――の10項目に分類され、市に返還される残金の記載もある。支給を受けるには、1円単位の領収書の添付が必要など細かい規程があり、ある現職市議は「政活費は厳正に管理されており、不正は起こりにくくなっている」と説明する。
一方、公開されている収支報告書は会派の支出合計金額であり、市議個人の支出の詳細は読み取ることができない。
県議会の政務調査費(現・政務活動費)の使途を追及し、一部に違法支出があるとして県に対する返還請求訴訟で勝訴した原告「市民オンブズマンわかやま」の畑中正好事務局長は「収支報告書だけでは詳細が何も分からない。会計帳簿や領収書、裏付け資料も公開しなければ意味がない」と指摘している。
提出資料は3500㌻ 市議会事務局によると、25年度に議員から提出された政務活動費に関する資料は約3500㌻にも上る。市の情報公開制度で、これらの資料を閲覧することは可能だが、閲覧は無料ながら、写しの入手には1枚10円が必要なため、全てを手に入れるには3万5000円もの費用が必要になる。膨大な量の資料ではあるが、同事務局は、これらをネット上で公開することは技術的には可能としている。
今回の市議選では、政務活動費の領収書をネット公開する公約を掲げる立候補予定者もおり、さらなる透明性の確保が期待されている。