インターネットを使った選挙活動が解禁され、初の統一地方選となった今回の県議選(12日投開票)。しかし2人オーバーの少数激戦が展開されている和歌山市選挙区(定数15)では、ネットを積極的に活用している陣営は少数派のようだ。まめに更新して情報発信しているのは3割ほどで、ほとんどがネットよりもじかに有権者とふれあう作戦に力を注いでいる。
候補者17人中11人が県選挙管理委員会にウェブサイトのアドレスを届け出た。残る6人中5人もホームページは存在するが、更新されていないサイトが多い。
ある候補者の公式サイトは今回のためにデザインなどを一新したが、プロフィルや事務所の地図などがあるのみ。陣営関係者は「年配者が多く、パソコンを触れる者がいない。やりたかったが、そこまで手が回らなかった」とこぼす。
別の候補者はフェイスブックを日々更新して活動報告しているが、「投票活動に結び付くとは思っていない」と言い、「生で会い、本気度を確かめてもらいたい」と意気込む。
また、ネットには完全にタッチしていない陣営も。関係者は「うちは個人の強い人脈に必死にお願いしていく。票は薄い人間関係で入れてもらうものではない」と一蹴する。
一方、フル活用している陣営もある。フェイスブックを一日に2~4回、活動中の現地から更新。「いいね」の数が一気に前日の3倍に増えるなど、手応えが数字に現れる。関係者は「これが票につながるかは使い方次第。『いいね』をくれた人への個別の対応など、慎重に検討していきたい」と話す。
また、ブログを毎日更新し、10分ほどの演説動画を載せている陣営や、サイトのトップページに個人演説会のスケジュール表を掲載している陣営もある。ネットでの情報発信は他候補に手の内を明かすことにもつながるが、その対応の分かれが得票にどう反映されるか、注目だ。
県選管は先月の立候補予定者説明会でネット選挙の活用や注意点についても説明した。「ネットは有権者にPRできる有力なツール。せっかく解禁されたので積極的に活用してほしい」と話している。