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日本野球連盟理事・井尻陽久さんに聞く

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 社会人野球の元日本生命監督で旧打田町出身の井尻陽久さん(62)が先月、日本野球連盟の理事に就任した。東海大相模高校では主将として夏の甲子園で優勝を飾り、日本生命では遊撃手として都市対抗を制覇。監督時代にもチームを優勝に導いた。春の甲子園開幕が迫り野球熱が高まる季節、アマチュア球界で活躍を続ける井尻さんに話を聞いた。

 井尻さんは小学校2年の時に同町から和歌山市の松江に移り、松江小、河西中を卒業。当時、東海大相模の監督だった原貢氏(読売ジャイアンツ・原辰徳監督の父)の誘いで同校野球部に入部した。

 現在は名門と呼ばれているが、当時は神奈川県内でも知名度の低かった同校で監督が掲げた目標は「全国制覇」。練習では常に集中を切らさず、甲子園で勝ち抜くために必要な技術や精神を養ったという。迎えた3年時の夏には甲子園で優勝。「無名のチームだったけど、やることをやれば優勝できるもんなんですよ」と振り返る。

 その後、入社した日本生命では11年目の33歳の時に都市対抗初優勝に選手として貢献。監督就任後は、1990年に日本選手権を、1992年に都市対抗を制覇している。

 井尻さんは、日本の高校野球や大学野球のレベルは年々高くなっていることにふれ、その背景として優秀な指導者の存在を挙げる。一方で、しっかりと状況を把握して結論を出す「考える力」の必要性を強調する。

 「うまくて能力の高い選手を集めれば勝つのは簡単だろうが、それに近づける努力をしなければ。指導者の意識レベルが大事だ」

 また、目標は「優勝」や「勝利」といった結果になるが、野球をする目的が選手や指導者の幸せにつながる方法を選ぶことの大切さも指摘。特に小学生を対象とする指導者には、将来を見据えた指導方法を促し、人生で必要なあいさつや返事の他、正しい座り方や歩き方など身体について学ばせる重要性を話す。

 「優勝」という高い目標を掲げ、指導者、選手が一体となって本気で挑戦した自身の体験を交え、練習とプライベートのめりはりについても強調する。「やる時はぐっと集中してやる。だらだらやっても何の役に立たない」と持論を語る。

 21日に第87回選抜高校野球大会が開幕する。21世紀枠で出場する桐蔭高校については、「『野球王国』の礎を築いた高校だ」と話した。

理事に就任した井尻さん

理事に就任した井尻さん


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