海南市岡田の出口十糸(とし)さん(57)の県内初の絵画展が3月2日まで、和歌山市の県民文化会館小展示室で開かれている。
出口さんは県美術家協会会員、二紀会準会員。県展、和歌山市展、海南市展招待作家。これまで東京や大阪、神戸などで個展やグループ展を開いてきたが県内での個展は初めて。
油彩とアクリル絵の具の混合技法による半具象・半抽象の大作8点をはじめ、小品10点を出品。シャープな直線やサークル、躍動する曲線など、変化の楽しい作品が並んでいる。
大阪生まれの出口さんは結婚を機に和歌山に移り住み、海南市内の「雨の森」などを題材に制作。自然の中で感じた生命力やみずみずしさをキャンバスに描いてきた。
しかし特に東日本大震災以降、自然賛美だけではいけないと思うように。価値観の多様化などの社会的背景も盛り込み、最近は「道標」(みちしるべ)と題した作品群に、気持ちの揺らぎや不安定感、絶対的神話の崩壊を表現するようになったという。
出口さんは「試行錯誤しながら描いてきました。皆さんに感じたままのご意見をいただけたら」と話している。
午前9時から午後5時(最終日は4時)まで。