資金繰りの悪化から、バスケットボールNBLの和歌山トライアンズが経営継続の断念を発表した7日、ファンをはじめ関係者に衝撃が走った。これまで応援し、支えてきた各方面からチームへの思いを聞いた。
アリーナに1000人以上の観客が入らないと赤字といわれる中で、トライアンズのホームゲームの観客動員数は1試合平均622人とリーグ最下位の状態だった。毎回の試合は空席が目立ち、苦しい経営状態は誰の目にも明らかだったが、シーズン当初からファンは熱心にアリーナに足を運び、選手に声援を送り続けた。
さらに目に見える形で応援したいと、フェイスブックなどを通じて活動していたファンクラブ「トライアンズをこよなく愛する者たちの集い」(竹末憲司代表)は昨年11月ごろから、寄付を募り、2季目の横断幕の製作に取り掛かっていた。製作会社から12月末に完成の知らせを受けたばかりだったという。竹末代表は「横断幕は、またいつかトライアンズが活躍する時まで保管しておきます。みんながトライアンズのことを思い続ければいつか復活する時がくると思います。トライアンズは、たくさんの仲間と出会わせてくれました」と感謝の言葉を口にした。
審判やゲームの補助をするオフィシャルの派遣で試合運営に協力していた県バスケットボール協会の小村文宏会長は「突然の活動停止の知らせを聞き、非常に残念に思っている。2季目に、チームを存続させるために監督や選手を解任したことなどがファンの気持ちを離れさせた原因ではないか。私たちは経営内容まで把握する立場にはなかったが、ここまで悪化しているとは思っていなかったので頭が混乱している状態。だが、全てが終わったわけではないので、県内バスケ界の発展に期待したい」と話した。
アリーナ内の木製テーブルセットなどを提供していたオフィシャルサプライヤーの㈱榎本林業(紀の川市下鞆渕)の榎本大志郎社長は「昨季には、プレーオフで東京まで応援に行くなど思い入れもあったので、残念の一言です。プロスポーツとして、バスケットボールが県内ではまだまだ知名度が低かったことが、観客やスポンサーを増やせなかった原因だと思います」と分析していた。
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仁坂吉伸知事 和歌山で初めてのプロバスケットボールチームとして、昨シーズンはチーム初年度でありながら、地区優勝、リーグファイナル準優勝という輝かしい成績を残して、和歌山を元気づけてくれた。これからの活躍を期待していただけに非常に残念だ。
尾花正啓和歌山市長 一昨年、和歌山で初めてのプロバスケットボールチームが誕生し、1年目にして、レギュラーシーズン西地区優勝という素晴らしい成績を収め、「今年もぜひ優勝を」と思った矢先のことで、非常に残念でならない。選手や関係者は、新天地で活躍されると思うが、チームの皆さまが、市内の子どもたちにバスケットボールを指導するなど、地域に根差したプロチームとして活動された功績は、子どもたちにとって必ず財産となると思っている。2年間お疲れさまでした。そして、本当にありがとうございました。