心筋梗塞の原因を早期に見つけ、発症を防ぐため、県立医科大学(和歌山市紀三井寺)は住友電気工業㈱などとの産官学連携で、血管の動脈硬化を調べる新しい画像診断装置を開発している。従来の画像では判断しづらかった、心筋梗塞の原因となるコレステロールの塊などの血管組織が色分けして見られるようになり、容易に動脈硬化の進行度が分かるなど、診断法の向上に期待が掛かる。
県立医大はおととしから、同社、和歌山大学システム工学部と共同研究を進めており、4日、県立医大で同大循環器内科の赤阪隆史教授(59)と久保隆史准教授(47)が、開発の経過を発表した。
県立医大は約10年前から、血管内を診断する方法として、光ファイバーを内蔵したカテーテルを血管に通し、光の干渉を利用して動脈硬化の様態を調べる「OCT(光干渉断層法)」を実施。血管を調べる従来の超音波法などと比べて解像度が高く、血管の形が明瞭に写されるが、モノクロでの表示のため、血管内に癒着したコレステロールの塊や石灰化部分といった組織の識別が難しかった。
発表によると、研究はOCTをさらに発展させたもので、血管内組織をカラーで表示して見られるようになる。例えばコレステロールは青色、石灰化部分は赤色と表示することで、経験の浅い研究者や臨床医でも、容易に組織診断が可能になるという。今後も産官学で連携し、解像度の向上や、血管内を3次元に表示する研究を進める予定で、臨床実験などを経て、2年以内の実用化を目指す。
赤阪教授は「もうすぐ臨床にも使える状況になっている。脂質や石灰化が色分けして見られれば診断も早くなる」。久保准教授は「心筋梗塞は死に至る重い病気。発症を予想することができたら、明らかに患者を減らせる」と話している。