和歌山市六十谷の紀の川から河川敷に引き上げられた周囲約12㍍の巨大クスノキを、 展示保存のために県立紀伊風土記の丘(岩橋)に移動させる大計画に、 林業界では知る人ぞ知る1人の職人が関わっている。 高野山などで神木などの伐採に携わっている狗巻(いぬまき)義博さん=有田市=だ。 日程は、 巨木を3分割してトラックに載せる切断作業が27日朝、 風土記の丘への運搬と復元が28日早朝に決定。 いよいよ狗巻さんの挑戦が始まる。
狗巻さんは、 代々続く木徳林業の4代目。 30年以上前から林業に携わり、 全国的にも技術を持つ人が少ない、 国宝や重要文化財の近くに育っている巨木の伐採なども請け負っている。
これまでにも今回のクスノキと同じような巨木を20本、 一回り小さい巨木を200~300本扱っているという。
今回の作業は、 狗巻さんが関わった中でも最大といい、 特に輸送後の復元作業が難関。 全体で約40㌧もあるとみられる巨木は、 接着剤などでは固めておくことができないため、 ボルト金具で締め付け固定する予定という。
狗巻さんは 「大勢のマスコミに注目されてプレッシャーがかかるよ」 と苦笑いを見せながらも、「いつもは30~40㍍の高さの危険な場所で作業していることを考えたら、 気持ちは楽。 成功させて林業を志す若い人たちにも勇気を与えたい」 と、 作業成功に向け意気込んでいる。