県は28日、東海・東南海・南海3連動地震などに備え、津波による死者ゼロを目指す「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を発表した。津波の到達が早いため逃げ切れない「津波避難困難地域」を解消するため、避難路・避難施設の整備、堤防・護岸のかさ上げ、耐震化などを今後10年間をめどに進める。
県は、津波到達までに高台などに避難することが難しい地域を津波避難困難地域として抽出。3連動地震に関しては、すさみ▽串本▽那智勝浦▽太地―の4町22地区(対象人口約4000人)を指定した。
対策として、全22地区で具体的に避難可能な経路を設定し、避難訓練などで住民への周知を徹底。その他、津波避難ビルの指定(3町6地区)▽避難路・階段の整備(同)▽避難施設の整備(3町9地区)▽堤防・護岸の整備(3町6地区)▽JR陸橋の耐震化や県営住宅への外階段設置(1町2地区)―を行う。
事業費(概算)は津波避難困難地域の解消対策に123億円、同地域以外の津波対策に560億円の計683億円(半分国補助)を見込んでいる。
3連動地震は約90~150年周期と発生頻度が高いため、ソフト・ハード対策を最優先で実施。1000~1万年に一度と頻度が極めて低い巨大地震に関しては、基本的にソフト対策を進める。
巨大地震の津波避難困難地域としては3連動地震の4町に加え、美浜▽御坊▽印南▽みなべ▽田辺▽白浜▽古座川▽新宮―の計12市町61地区(対象人口約2万2700人)を指定。高台移転や複合避難ビルの整備など、地域改造も含めて住民と相談して検討していく。
仁坂知事は「一人ひとりの県民、全部助けたい。津波から逃げる前に落下物に挟まれて逃げられなくなったら、助かる命も助からないので、それぞれ『自分を助けるためには』と考えて、家具固定や耐震補強をしてほしい」と呼び掛けた。