県は19日、南海トラフ地震などに備えた防災訓練を行い、陸海空の自衛隊や在日米軍を含む118機関約6400人(うち住民約3150人)が参加。全国的にも最大規模の訓練が主に紀南地方で展開された。米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ2機も自治体主催の訓練としては初めて参加し、報道関係者や住民の注目を浴びた。
規模は昨年度の20機関1080人(うち住民725人)より大幅に拡大した。
訓練は午前9時、県の南方沖を震源とするマグニチュード8・7の大地震が発生したと想定。航空機23機、艦船8隻が参加し、空と海から人命救助、物資輸送などの連携を確認した。
オスプレイは岩国基地(山口県)から南紀白浜空港(白浜町)に到着し、災害派遣医療チーム(DMAT)や救援物資を乗せると、海上ルートを飛び、串本町の望楼(ぼうろう)の芝まで約17分で運んだ。望楼の芝では傷病者役を乗せ、護衛艦「いせ」に搬送した。空港周辺には見物の人だかりができ、オスプレイ反対を訴える市民団体の姿も見られた。
県庁では災害対策本部会議の運営訓練が行われ、串本町の動鳴気漁港ではヘリを使った火災家屋の消火訓練や、津波の漂流者の救助訓練なども行われた。
また18、19の両日、近畿2府4県の緊急消防援助隊が毎年実施している合同訓練も県南部であり、防災ヘリが海上保安庁の大型巡視船「とさ」など、通常着艦する機会の少ない船舶に着艦する珍しい訓練もあった。
終了後、県庁で会見した仁坂吉伸知事は「全ての要素が入った防災訓練になった。一層対策の精度を高め、県民の命を守りたい」と所感。
佐藤章防衛副大臣は「オスプレイに乗り、あらためて機動力の高さ、運搬力の大きさを感じた。オスプレイの訓練を引き受けていただくことは沖縄の負担軽減にもつながる」とし、他自治体でも協力を得ながらオスプレイの訓練参加を進める方針を示した。
坂本森男消防庁長官は「護衛艦の着艦訓練など極めて多方面の連携がなされ、非常に実効性の高い素晴らしい訓練だった」とたたえた。